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火山情報
2019/07/02 18:01:26
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2019年07月02日18時00分 発表

本日、第144回火山噴火予知連絡会において、前回(第143回、平成31年2月27日)以降の全国の火山活動について以下のとおり評価を行いました。
また、参考として気象庁が発表している噴火警報・予報(噴火警戒レベル)についても併せてお知らせします。

【火山活動の状況】
桜島
南岳山頂火口では活発な噴火活動が継続していましたが、1月中旬頃から噴火活動がやや低下しています。広域のGNSS連続観測でみられていた姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部の膨張を示す基線の伸びは停滞していますが、長期にわたり供給されたマグマが蓄積した状態であり、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は概ね多い状態が続いていることから、今後も南岳山頂火口を中心に、噴火活動が継続すると考えられます。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)発表中
南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るため注意してください。爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生する可能性がありますので留意してください。

草津白根山
1982年から1983年にかけて小規模な水蒸気噴火を繰り返した湯釜付近の地震活動は1993年以降低調でしたが、2002年頃から徐々に高まっており、地震多発に先行して北側噴気地帯のガス組成の変化がたびたびみられています。また、湯釜湖水の化学組成にも、高温の火山ガスに由来する成分の増加がみられています。2014年及び2018年には、湯釜付近の浅部へ火山性流体が急激に注入されることによると考えられる火山性地震の多発などがみられ、GNSS連続観測でも、草津白根山の北西から西側の深部の膨張を示唆する変化が繰り返し観測され、それらは収縮に転じていません。また、本白根山では、2018年に水蒸気噴火が発生しました。
以上のように、草津白根山の火山活動は、中長期的にみると活発な状態になっており、今後、さらに高まっていく可能性があります。草津白根山浅部の活動だけではなく、草津白根山の北西もしくは西側の地殻変動や周辺の地震活動にも注意していく必要があります。

白根山(湯釜付近)
湯釜付近浅部の活動は、2019年5月中旬に火山性地震がやや増加したこと、高温の火山ガスの供給が続いていること、全磁力観測では温度下降を示唆する傾向を示していないこと、湯釜湖水の量が増加しながらも高温の火山ガスに由来する成分の濃度が依然として高く、湯釜浅部に火山性流体の供給が続いていることなどから、2018年9月下旬から高まった状態が継続していると考えられます。引き続き、小規模な水蒸気噴火が発生する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中
湯釜火口から概ね1kmの範囲では小規模な噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、ところどころで火山ガスの噴出がみられます。周辺のくぼ地や谷地形などでは高濃度の火山ガスが滞留する事がありますので、注意してください。

本白根山
鏡池北火口付近ごく浅部を震源とするBH型地震は徐々に減少し、2018年12月以降はほとんど観測されていません。鏡池北火口の北側の火口列からの噴気も観測されていません。火山活動は、現在のところ静穏な状態ですが、逢ノ峰付近では時々地震が発生しており、引き続き、火山活動の推移に注意する必要があります。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

箱根山
2019年3月中旬頃から、山体の膨張を示す変化がみられている中、4月下旬頃から火山性地震が増え始め、5月18日から5月19日に火山性地震がさらに増加しました。その後、回数は減少したものの、2019年4月より前の少ない状態に戻っていません。大涌谷周辺の噴気や熱活動は2015年以降高い状態が維持されており、火山活動は高まった状態になっているとみられます。想定火口域内に影響を及ぼす噴火が発生する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中
大涌谷周辺の想定火口域内では小規模な噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。噴火時には、風下側では火山灰だけでなく小さな噴石が風に流されて降るため注意してください。

阿蘇山
中岳第一火口では4月16日の噴火以降、時々噴火が発生しています。火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は概ね多い状態で経過しています。火山性微動の振幅は時々大きくなりましたが、5月以降小さな状態が続いています。中岳第一火口内の湯だまりはほぼ消失し、火映や赤熱現象がみられる等、火口内の熱活動は高まった状態が続いています。GNSS連続観測では、深部にマグマ溜りがあると考えられている草千里を挟む基線で、わずかな伸びの傾向が継続していますが、一部の基線では鈍化がみられます。
以上のことから、火山活動は高まった状態で経過しており、今後も噴火活動を繰り返す可能性があります。
【参考】噴火警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中
中岳第一火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。また、火山ガスに注意してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

口永良部島
新岳火口では、2月2日にごく小規模な噴火が発生して以降、噴火は観測されていません。
新岳火口付近のごく浅い場所を震源とする火山性地震は2月以降減少し、概ね少ない状態で経過しています。また、新岳の西側山麓のやや深い場所を震源とする火山性地震は、2018年8月16日以降観測されていません。山麓からの観測では、新岳火口及び新岳火口西側割れ目付近の噴煙や地熱域の状況に特段の変化は認められていません。
一方、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、概ねやや多い状態が続いていますので、引き続き小規模な噴火の可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中
新岳火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、新岳火口から西側の概ね2kmの範囲では、火砕流に警戒してください。風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

諏訪之瀬島
御岳火口では、噴火が時々発生しました。諏訪之瀬島では長期的に噴火を繰り返しており、今後も火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されます。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中
御岳火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。

吾妻山
2018年5月頃から続いていた大穴火口周辺の隆起・膨張を示す地殻変動は、2019年2月から4月にかけて概ね停滞し、大穴火口付近浅部の地震活動も静穏化しました。その後、4月末頃から大穴火口付近浅部の膨張を示す地殻変動が観測され、火山性地震も多い状態で経過、微動の発生など、再び火山活動の活発化がみられましたが、5月下旬には低下しました。
しかしながら、火山ガスの濃度比(二酸化硫黄/硫化水素)は依然高い値を維持、拡大した地熱域の縮小はみられず、熱活動は高まった状態が継続していることから、大穴火口や旧火口周辺では、火山灰や高温の土砂、熱水等が突発的に噴出する可能性があります。また、火山ガスについても注意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中
大穴火口や旧火口周辺では、火山ガスの噴出が認められており、熱活動も継続していることから、火山灰や高温の土砂、熱水等が突発的に噴出する可能性があります。また、硫黄平橋周辺でも火山ガスに注意が必要です。地元自治体の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

霧島山
広域のGNSS連続観測では、霧島山の深い場所でのマグマの蓄積を示すと考えられる基線の伸びは2019年2月以降停滞していますが、地震活動は、引き続き、硫黄山の周辺部、大幡山、韓国岳の周辺などで認められています。
霧島山深部には、これまでにマグマが蓄積されていると考えられ、広範囲の地震活動も続いていることから、火山活動の推移を引き続き慎重に監視する必要があります。

えびの高原(硫黄山)周辺
硫黄山では、2018年4月27日以降、噴火は発生していません。噴気活動は活発な状態が続いていますが、2019年1月以降はその領域のさらなる拡大は認められません。硫黄山付近では、火山性地震は2019年2月以降ごく微小な地震も含めて概ね少ない状態で経過しています。GNSS連続観測では、硫黄山近傍の基線で伸びの傾向が続いていましたが、2019年2月頃からは停滞しています。えびの高原(硫黄山)周辺は現在のところ静穏な状態ですが、引き続き火山活動の推移に注意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中
活発な噴気活動がみられている硫黄山の西側500mの噴気地帯から概ね100mの範囲、及び硫黄山火口内では、熱水・熱泥等が飛散する可能性がありますので注意してください。

新燃岳
新燃岳では2018年6月28日以降、噴火は発生していません。新燃岳火口直下を震源とする火山性地震は、概ね少ない状態が続いていますが、2019年2月など一時的に増加がみられることがあり、引き続き火山活動の推移に注意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中
火口内及び西側斜面の割れ目付近では、火山灰の噴出や火山ガス等に注意してください。

【防災上の警戒事項等】




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